同じ質量の弾性衝突ではなぜ「速度の入れ替わり」が起こる?質量が違う場合の弾性衝突は?

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今回は、完全弾性衝突において

質量の異なる物体の衝突
における速度の変化

について解説し、さらに

2物体の速度の入れ替わり
なぜおこるのか

また、

どんな時に起こるのか

について解説していきます!

 

「(完全)弾性衝突」とは?

では、まず言葉の定義から解説していきます。

完全弾性衝突

もしくは

弾性衝突

というのは、

このように、

「衝突後の速度の差」
「衝突前の速度の差」が

同じになる衝突

のことを言います。

これはあくまで速度の「大きさ」についての話であって、

衝突の前後での速度の「向き」の変化は
別で考える必要がある

という点に注意してください。

 

そして、この(完全)弾性衝突というのは
反発係数$e$を用いて説明すると、

$$-\frac{衝突後の速度差}{衝突前の速度差} = e = 1$$

$$(0 \leqq e \leqq 1)$$

($e=1$の時、(完全)弾性衝突、$e=0$の時、完全非弾性衝突(合体))

とこのように、反発係数が$1$になる衝突のことを指します。

 

質量の異なる2物体の(完全)弾性衝突

それでは、質量の異なる2物体の弾性衝突について
例題を通して考えていきます。

例題

問題

図のように、速度$v_1$で動く質量$m$の質点$P$が速度$v_2$で動く質量$M$の質点$Q$に(完全)弾性衝突した。

衝突後の速度$v_1’$、$v_2’$を求めよ。

 

考え方の基本的な方針

衝突の前後で物体の運動を考える場合には

基本方針

①:反発係数$e$を用いた速度の関係式を作る

②:運動量保存の関係式を作る

③:①、②で求めた2つの関係式を連立する

の3ステップを踏むことが基本になります。

 

注意

反発係数を考慮に入れる際、
(完全)弾性衝突の意外の場合は、
衝突する物体間のエネルギー保存則は成り立たなくなります。

しかし、

運動量保存は
どんな場合でも成り立つ

のでこの点注意してください。

反発係数がどんな場合であっても
運動量保存則は使って大丈夫です。

 

以上の内容が基本方針になります。

 

解説

では、実際に式を作っていきましょう。

①反発係数$e$を用いた関係式

今、(完全)弾性衝突を考えており、
反発係数が

$$\Large e = 1$$

だとわかっているので、この反発係数を用いた速度の関係式を作ります。

 

反発係数の定義式:

$$\large -\frac{(衝突後の速度差)}{(衝突前の速度差)} = e $$

に、

$$\large (衝突前の速度差) = v_2 – v_1$$

$$\large (衝突後の速度差) = v_2’ – v_1’$$

$$\large e = 1$$

を代入して、

\begin{align}
-\frac{v_2′-v_1′}{v_2-v_1}& = 1\\
-(v’_2-v’_1)&=v_2-v_1\tag{1}
\end{align}

という式を得ることができます。

 

②運動量保存則の関係式

次に運動量保存則から、

\begin{align}
mv_1’+Mv’_2 &= mv_1 +Mv_2 \tag{2}\\
(衝突後の運動量)&= (衝突前の運動量)
\end{align}

という式を得ることができます。

 

③2つの式を連立する

改めて、得られた2つの式を並ます。

\begin{align}
-(v’_2 – v’_1)&= v_2 – v_1\tag{1}\\
\\
mv’_1 + Mv’_2 &= mv_1 + Mv_2\tag{2}\\
\end{align}

念の為述べておきますが、今
$v_1, v_2$が「既にわかっている量」であり、
$v_1’, v_2’$が「これから求めたい量」です。

やや面倒ですが、これらを連立していきます。

まず、$v’_2$から求めていきましょう。

(1)式より、

$$\large v’_1 = v’_2 + v_2 – v_1$$

と書くことができるので、
これを(2)式に代入し、変形していきます。

こうすることで、$v’_2$のみを含み、
$v’_1$を含まない式を得ることができるはずです。

 

\begin{align}
m(v’_2 + v_2- v_1) + Mv’_2 & = mv_1 + Mv_2\\
\\
(M+m)v’_2 &= -m(v_2 – v_1) + mv_1 + Mv_2\\
\\
(M+m)v’_2 &= 2mv_1+(M-m)v_2\\
\\
v’_2 &= \frac{2m}{M+m}v_1 + \frac{M-m}{M+m}v_2
\end{align}

と$v’_2$を求めることができます。

さらに、この$v_2’$の式を(1)式に代入することにより、

\begin{align}
-\Big(\frac{2m}{M+m}v_1 &+ \frac{M-m}{M+m}v_2-v’_1\Big) = v_2 – v_1\\
\\
v’_1 &= \Big(\frac{2m}{M+m}-1\Big)v_1 + \Big(\frac{M-m}{M+m}+1\Big)v_2\\
\\
v’_1&=-\frac{M-m}{M+m}v_1 + \frac{2M}{M+m}v_2\\
\end{align}

と$v’_1$を求めることができます。

以上で、問題を解くことができました。

 

エネルギーの変化を見てみる

例題を解くことができたわけですが、
念の為、エネルギー保存則がちゃんと成り立っているかを確認してみましょう。

もし、エネルギー保存則がちゃんと成り立っているのなら、

\begin{align}
\frac{1}{2}mv^2_1+\frac{1}{2}Mv^2_2 = \frac{1}{2}mv’^2_1+\frac{1}{2}Mv’^2_2 \tag{3}
\end{align}

という式がなりたつはずです。

式変形が面倒ですが、例題によって得られた解を用いて
(3)式が成り立つかを確認していきます。

 

例題で得られた$v_1$と$v_2$を再度並べます。

$$v’_1 = -\frac{M-m}{M+m}v_1 + \frac{2M}{M+m}v_2 $$

$$\large v’_2 = \large\frac{2m}{M+m}v_1 + \frac{M-m}{M+m}v_2$$

これらの結果をエネルギーの式に代入していきます。
まず$mv’^2_2$について、
$v’_2$の表式を代入し、$v_1, v_2$のみの式にしましょう。

\begin{align}
mv’^2_1 &= \frac{m(M-m)^2}{(M+m)^2}v_1^2 – \frac{2mM(M-m)}{(M+m)^2}v_1v_2 + \frac{4mM^2}{(M+m)^2}v_2^2\\
\\
&=  \frac{1}{(M+m)^2}\Big(m(M-m)^2 v_1^2 – 2mM(M-m)v_1v_2 + 4mM^2 v_2^2\Big)
\end{align}

(式変形が大変かもしれませんが、頑張ってください)

今度は$Mv’^2_2$について$v’_2$の表式を代入して、
$v_1, v_2$のみの式にします。

\begin{align}
Mv’^2_2 &= \frac{4m^2M}{(M+m)^2} + \frac{2mM(M-m)}{(M+m)^2}v_1v_2 + \frac{M(M-m)^2}{(M+m)^2}v^2_2\\
\\
& = \frac{1}{(M+m)^2}\Big(4m^2Mv_1^2 + 2mM(M-m)v_1v_2 + M(M-m)^2v_2^2\Big)
\end{align}

とかけるので、これを(3)式の右辺に代入していきます。

すると、

\begin{align}
\frac{1}{2}mv’^2_1 + \frac{1}{2}Mv’^2_2 &= \frac{1}{2(M+m)^2}\Big((m(M-m)^2+4m^2M)v_1^2 + (4mM^2 + M(M-m)^2)v_2^2\Big)\\
\\
& = \frac{1}{2(M+m)^2}\Big((m(M-m)^2+4m^2M)v_1^2+ (4mM^2 +M(M-m)^2)v_2^2\Big)\\
\\
& =  \frac{1}{2(M+m)^2}(M+m)^2(mv_1^2+Mv_2^2)\\
\\
& = \frac{1}{2}mv_1^2 + \frac{1}{2}Mv_2^2\\
\end{align}

とこのように、エネルギー保存則がちゃんと成り立っていることが確認できました。

 

今回は(完全)弾性衝突を考えていたので
このエネルギー保存則が成り立っていますが、

弾性衝突以外の場合($e\neq 1$)
エネルギー保存則は成り立たない

ということに注意して下さい。

 

質量が同じ2物体の(完全)弾性衝突:速度の入れ替わり

では、先ほどはちょっと状況を変えて、
質量が同じ物体の衝突では速度はどうなるでしょうか。

 

例題

問題

図のように、速度$v_1$で動く質量$m$の$P$が速度$v_2$で動く質量$m$の$Q$に(完全)弾性衝突した。

衝突後の速度$v’_1$、$v’_2$を求めよ。

 

解説

方針は質量が異なる場合と同じです。

今回は、反発係数の関係式から

\begin{align}
\large -(v’_2 – v’_1) &= \large v_2 – v_1\tag{4}\\
\end{align}

 

また、運動量保存則から

\begin{align}
\large mv’_1 + mv’_2 &= \large mv_1 + mv_2\\
\\
両辺を質量&mで割って\\
\\
\large v’_1 + v’_2 &= \large v_1 + v_2 \tag{5}\\
\end{align}

を得ることができます。

この(4)(5)式の2つを連立すると、

(4)式+(5)式より、

$$v’_1 = v_2$$

また、(4)式-(5)式より、

$$v’_2 = v_1$$

を得ることができます。

この結果は、質量が異なる場合の
$v’_1$と$v’_2$の式において
$M→m$と置き換える(質量を同じにする)ことでも得られます。

 

速度が入れ替わる条件・理由

上でやった簡単な計算結果から、
衝突する物体の質量が同じ場合には

衝突の前後で
速度が入れ替えが起こる

ことがわかります。

 

よく、質量が同じ物体の衝突を考える際に

なぜ、速度が入れ替わるの??

という疑問を抱く人がいますが、
これまでの結果を見れもらえばわかるように、
速度の交換が起こる理由は

衝突する2つの物体の
質量が等しいから

としか言いようがありません。

 

一般の衝突の場合では速度の交換は起こりませんが、
そこで、質量を同じにする($M→m$と変えることに対応)
”結果的に”速度が交換されるという現象が導かれた、

という流れを意識するようにしてください。

注意:平面上の2物体の衝突

今回は1次元上を運動するの物体の衝突を考えましたが、

平面上を運動する
2物体の衝突

を考える場合には、

直交する2つの方向
($xy$平面上では$x$方向と$y$方向)

について、各々の方向に関する
衝突係数と運動量保存を考える必要があるので気を付けるようにしてください。

 

まとめ

それでは今回のまとめです。

まとめ
  • 衝突後の速度を求めるには次の3ステップ

    • ①反発係数を含む関係式を書く

    • ②運動量保存則の関係式を書く

    • ③上2式を連立して解く

  • 弾性衝突($e = 1$)の場合にはエネルギー保存則も成り立つ!

  • $e ≠1$の場合にはエネルギー保存即は成り立たない!

  • 運動量保存則はいつでも成り立つ!

  • 衝突する物体の質量が等しい場合には速度の入れ替わりが起こる!

  • このことは知識として覚えておこう!

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