「人を乗せた板に働く力のつり合いの問題」の解き方をわかりやすく解説!!

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問題設定

今回は次のような

人を乗せた板のつりあい

についての問題を考えていきます。

 

問題

次の図1~図3のように滑らかに
回転する滑車が天井に取り付けられ

滑車にかけられた紐の一端には
人を乗せた板が繋がれている。

板の質量を$10$kg、人の質量を$50$kg、
重力加速度を$9.8m/s^2$として
以下の問いに答えよ。

ただし滑車、ひもの質量は無視できるとする。

問1

図1に示すように、
「人を乗せた板」を吊り下げた
ひもの他端を引き板を床から浮かせるためには
少なくとも何Nの力が必要か。

図1

 

問2

図2に示すように、板上の人が
自分でひもを引き
板を床から浮かすとき
少なくとも何Nの力が必要か。


図2

 

問3

図3に示すように、
板状に質量2kgの体重計を置き
その上に人が乗った状態を考える。

図3

自分でひもを静かに引いた場合
床から板が離れたと時に
体重計は何kgを指しているか。

 

このような問題が解けるようになるためには

力の書き方・扱い方の基礎

がしっかり身についているか
どうかが重要になります。

基礎的な問題ですが
見くびらないように注意です。

 

問題をといていくための重要事項

このような問題を
ちゃんと解けるように成るためには

力を正確に書けること

つり合いの意味の理解

の以上2つが必要になります。

 

まず、正確な力の書き方については
以下の記事で解説しているので
力の書き方に自信がないという人は
見てみてください。

物理全体で重要な【間違わない力の書き方3ステップ】を丁寧に解説!!

2020年9月25日

 

次につり合いの意味についてですが、

「つり合っている」とは
物体が静止しているだけではない

ということに注意してください。

たとえ力がつり合っていても
物体は動きます。

 

言い換えると
物体を動かすために最低限必要な力とは

つり合うために必要な力

になります。

 

つまり今回の問題の

浮かす(動かす)ために
必要な力を求めろ

というのはつまり

つり合うために
必要な力を求めろ

ということです。

 

以上を踏まえた上で問題を解いていきましょう。

 

問1の解説

改めて問題を示します。

問1

図1に示すように、
「人を乗せた板」を吊り下げた
ひもの他端を引き
板を床から浮かせるためには
少なくとも何Nの力が必要か。

図1

 

今、人と板を持ち上げる
糸の張力を$T$と書きます。

そして図の「板」に注目し、
「板に働く力」を図示していきます。

 

すると、

と書けます。
(板に働く重力は省略しています)

ここで$T$はひもから板に働く張力
$N$は人から板に働く抗力を表します。

 

そして、板を浮かすためには
先に述べたことからわかるように

板に働く力が
つり合っていること

が最低限必要です。

 

なので次のようなつり合いの式が
成り立たなければいけません。

$$\large T=N+10\small{(kg)}\times \large 9.8 \small{(m/s^2)}$$

 

今板が人から受ける抗力$N$は
人に働く重力そのものであり

$$\large N=50\small(kg)\large \times 9.8\small{(m/s^2)}$$

となります。

 

つまり求める力は

\begin{align}
\large T&\large =50\small(kg) \large \times 9.8\small{(m/s^2)}\large +10\small{(kg)} \large \times 9.8 \small(m/s^2)\\
\\
&\large =588N
\end{align}

となります。

 

問1はただ単にひもが
人と板の全てを支えているということなので
とくに難しくはないでしょう。

 

問2の解説

では次です。

改めて問題と図を示します。

問2

図2に示すように、
板上の人が自分でひもを引き
板を床から浮かすとき
少なくとも何Nの力が必要か。


図2

 

(理由は後々説明するとして)
今回は問1とは異なり

板に注目する場合

人に注目する場合

の2つの場合についての
力を書く必要があります。

 

まず「板に注目する場合」には
同じく板の張力を$T$と書くと

とかけます。
(板に働く重力は省略しています)

ここで$N$は
板が人から受ける垂直抗力です。

 

次に「人に注目する場合」には

とかけます。
(ここの張力$T$は「板に注目した場合」に現れた
張力$T$と同じものになります)

ここで$N$は
人が板から受ける垂直抗力です。

またこの場合、人には
問1にはなかった上向きの張力$T$
働いていることに注意してください。

補足

ここで人に働く張力$T$が
板に働く張力$T$と等しくなることは
問題文中に書いてあった

「ひもの質量は無視できるとする」

という文言によって保証されます。

詳しくは以下の記事で解説しています。

質量が0だと紐や糸の張力が両端で等しくなる理由&至る所で張力が等しくなる理由

2021年11月18日

 

繰り返しになりますが
板を浮かすためには

板に働く力が
つり合っていること

が最低限必要です。

 

そこで板に関するつり合いの式を作ると

$$\large T=N+10\small(kg)\times \large 9.8\small(m/s^2)$$

となります。

 

ここの$N$には注意が必要です。

問1のように人の重力を入れたくなりますが
今$N$は重力ではありません。

 

というのも人には

上向きの張力

が働いているからです。

つまり人から板に働く力は

となります。

 

人から板に働く力は$N$そのものなので
上の等式は

$$\large N=50\small(kg)\large \times 9.8\small{(m/s^2)}\large -T$$

と書くことができます。

 

得られた2つの式

$$\large T=N+10\small{(kg)}\large \times 9.8\small{(m/s^2)}$$

$$\large N=50\small(kg)\large \times 9.8\small{(m/s^2)}\large -T$$

を連立して解くと
つり合うための張力として

$$\large 2T=588N$$

$$\large T=294N$$

が得られ、これが答えになります。

 

問3の解説

では最後です。

改めて問題と図を示します。

問3

図3に示すように、
板状に質量2kgの体重計を置き

その上に人が乗った状態を考える。

図3

自分でひもを静かに引いた場合
床から板が離れたと時に
体重計は何kgを指しているか。

 

この問題は体重計に働く力
求めれば良いことになります。

ということで考えていきましょう。

 

今回は

板と体重計に注目した場合

人に注目した場合

の2つについて力を書き加えた図を作ります。

 

まず「板と体重計に注目した場合」
ですが、これは

この2つをまとめて
1つにみなしましょう

ということを言っています。

 

そして板と体重計に注目し
力を書くと、

となります。
(重力は省略しています)

 

次に「人に注目した場合」です。

これは問2と同じようになります。

($mg$は重力)

そして問題文中の

「静かに引いた」

という文は

つり合いの状態を
保ちながら浮かせる

ということを意味しているので
このことから

板と体重計
(をまとめたもの)
に働く力はつり合っている

ことがわかります。

 

ということで先程の図を元に
「板と体重計をまとめたもの」について
力のつり合いの式を作ると

$$\large T=(10+2)\small(kg) \large  \times 9.8\small{(m/s^2)} \large +N$$

が得られます。

そしてここでも$N$は
人の重力ではありません。

 

理由は問2での説明と同じように
人にも上向きの張力が働くためです。

 

そして「人に注目した場合」の図から
人から板に働く力$N$について

$$\large N=50\small(kg)\large \times 9.8\small{(m/s^2)}\large -T$$

という式が得られます。

 

以上得られた2つの式を並べると

$$\large T=(10+2)\small(kg) \large \times 9.8 \small(m/s^2) \large +N$$

$$\large N=50\small(kg)\large \times 9.8\small(m/s^2)\large -T$$

これらを連立して解くことで

\begin{align}
\large 2N &\large =38\times 9.8\small (m/s^2)\\
\\
\large N&\large =19 \small{(kg)} \large \times 9.8\small (m/s^2)
\end{align}

が得られます。

 

これから体重計は
19kgを指すことがわかり
これが求めたかった答えになります。

 

以上のようにこのような問題が
ちゃんと解けるようになるためには

登場する物体1つ1つに働く力を
ちゃんと整理すること

が大事になるので
これができるように心がけるようにしましょう。

 

まとめ

それでは今回のまとめです。

まとめ
  • 物体が動くためには
    「物体に働く力がつり合うこと」
    が最低限必要になる!
  • 「何に注目するか」を意識しながら
    力を書いて整理する!

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