物体の重心の公式はなぜあの形?重心の求め方は?切り抜かれた円盤の例題を用いて重心を徹底解説!

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重心の物理的な意味

重心、重心っていうけど
重心って結局何なの?

のような人のためここではまず

重心の物理的な意味

を解説していきます。

 

言うまでもないですが、通常物体には
「大きさ」があります。

 

しかし「物理」というものは

大きさが大嫌い

です。

 

なぜなら、もし大きさがあれば
「回転」だったり「変形」だったりを
考えないと物体の運動を記述できないからです。

皆さんもできれば
変形なんて面倒くさいこと考慮したくないですよね?

回転なんて面倒くさいこと無視したいですよね?

そこで通常物理では

物体を大きさのない
(ただし質量のある)
「点」に置き換える

という作業をします。

 

え!?
そんな勝手なことして良いの?

と思うかもしれませんが
実は、この点が

重心である場合

には置き換えは許されます。

 

裏を返せば

質点への置き換えが
許される代表点

つまり

回転を無視できる点
こそが

重心

であるわけです。

合わせて読みたい
「質点」について、
より詳しくは次のページ
参照して下さい!

物理に現れる『質点』とはそもそも何かをわかりやすく解説

2021年4月2日

 

そして重心(質点)の運動がわかれば
次のような物体の大まかな運動
わかることになります。

つまり重心とは

物体の運動を
記述するための代表点

とも言えます。

 

重心の公式ってなぜあの形なの?

では重心の公式について解説していきましょう。

 

重心の公式

通常、重心の公式は

$$\large x_G=\frac{m_1x_1+m_2x_2+\cdots}{m_1+m_2+\cdots}$$

とだけ書かれて終わりです。

しかしこれだけ覚えていても
重心が関連してくる問題には対応できないでしょう。

 

ということで、この公式の

導き方

を以下で見ていきます。

 

重心の公式の導き方

今、次のような

棒で繋がれた物体

を考えてください。

(棒自体の質量は無視できる)

 

今この棒で繋がれた物体の
重心を考えていきます。

 

思い出して欲しいのが、重心とは

回転を無視できる点

であるということです。

 

そして「回転を無視できる」
というのことはつまり

重心周りのモーメントは
0になる

ということになります。

 

なので、逆に

モーメントが0となる点

を探せば、そこが重心だと言えるわけです。

 

今仮に、重心の座標を
$(x_G, y_G)$と書くことにしましょう。

まず$\large x_G$について考えていきます。

それぞれの物体の座標を
次図のように定めることにします。

 

すると今、$x_G$ まわりのモーメントは0
にならなければいけないので

$$\large 0=m_1g(x_G-x_1)-m_2(x_2-x_G)$$

というモーメントのつり合いの式が得られ、
これを整理すると

\begin{align}
\large (m_1+m_2)gx_G &\large =(m_1x_1+m_2x_2)g\\
\\
\large x_G&\large =\frac{m_1x_1+m_2x_2}{m_1+m_2}\\
\\
\end{align}

と、このように$x_G$が導かれます。

 

次に重心の$y$座標$y_G$についてですが
これを求めるためには次のように
座標ごと90度回転させましょう。

すると、先程やったように
$y_G$まわりではモーメントが0
ならなければいけないので

$$\large 0=m_1g(y_1-y_G)-m_2g(y_G-y_2)$$

というモーメントのつり合いの式が得られ
これを整理すると

$$\large y_G=\frac{m_1y_1+m_2y_2}{m_1+m_2}$$

というように$y_G$が導かれます。

 

そしてより物体の数が増えた場合でも
今回と同様に考えることで

$$\large x_G=\frac{m_1x_1+m_2x_2+\cdots}{m_1+m_2+\cdots}$$

という式が得られるわけです。

 

「数学の重心」と「物理の重心」で混乱しないように!

物理の重心で混乱してしまいがちな
要因の1つとして

数学における
幾何学の重心と
混同してしまう

というものがあります。

数学の範囲でも

様々な図形の重心

ということでその求め方を学ぶと思います。

 

しかしそれらと今回解説している
物理の重心とは(高校物理においては)

関連はない

ということに注意してください。

数学の重心の考え方と
物理の重心の考え方は
全く別物と思ってもらって問題ありません。

 

重心の求め方~切り抜かれた円盤の例題を通して~

それではよくある重心の例題を通して
重心に対する理解をより深めましょう。

例題:切り抜かれた円盤の重心

半径Rの円盤から次の図のように半径R/2の円盤を切り抜いた。

Q:この時、残った円盤の重心の位置を求めよ。

 

この例題をちゃんと解けるためには

重心とは
質量が一点に集まったと
みなせる点

(質点)

また

モーメントが0となる点

であることをちゃんと
理解できているかが鍵となります。

 

例題の状況を整理すると次のように書けます。

切り抜いた円盤と、もとの円盤は
ただの円なのでその重心は中心にあります。

先程の図から、今の場合

切り抜いた円盤と
残った円盤を合体させ

元に戻した時、その重心は
原点Oにこないといけない

という条件が読み取れますね。

 

これは、切り抜かれた円盤の重心の位置を
適当な位置に仮定し、
円の中心からの距離を $x_G$
すると
次の図のように表されます。

 

ではこの切り抜かれた円盤の
重心の位置$x_G$を求めていきます。

 

物体は重心においてのみ
「質点」とみなすことができることを思い出すと
先程の図の右辺はさらに次図のように書けます。

つまり質点を用いて
(重心の公式を導く際に使った)

棒で繋がれた物体

に帰着できます。

 

ここまでくればあとは簡単です。

合体すると原点が重心になることから

において$O$周りのモーメントは0となるはずです。

 

そして今、切り抜く円の質量を$m$とすると、

切り抜かれた円の面積は
切り抜く円の面積の3倍であることから
切り抜かれた円の質量は$3m$と書くことができます。

よって、原点周りのモーメントのつり合いの式は、
重力加速度を$g$と書くことにすると

$$\large 0=3mg \cdot x_G-mg\cdot \frac{R}{2}$$

となります。

 

これを整理すると、最終的に

$$\large x_G=\frac{R}{6}$$

が得られます。

このようにして重心の位置が求めることができます。

 

まとめ

それでは今回のまとめです。

まとめ
  • 重心とは物体の全質量が集まった(とみなせる)大きさのない点(質点)である。
  • 重心とはその周りのモーメントが0になっている点である。
  • 重心の公式はモーメントが0になる点を探すことで導くことができる!
  • 切り抜かれた円盤の重心は
    棒で繋がれた2つの物体の重心へと帰着させて考える!

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