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斜方投射の公式一覧
次のような
斜方投射
の運動を考えます。
![](https://i0.wp.com/high-school-physics.com/wp-content/uploads/2021/04/スクリーンショット-2021-04-27-14.35.29.png?resize=611%2C320&ssl=1)
この時、斜方投射の公式として
次のようなものがあります。
![](https://i0.wp.com/high-school-physics.com/wp-content/uploads/2021/04/スクリーンショット-2021-04-27-17.51.37.png?resize=548%2C407&ssl=1)
とてもたくさんありますが
これらは
全く覚える必要がない
ので安心してください。
逆に、決して
丸暗記だけはしないように
しましょう。
これらは全て自力で求めることが
できるようになってください!
斜方投射の公式の求めるために
先程の公式たちを求めるにあたり
これ以降は
鉛直投げ上げ運動
の知識を前提として
進めていきます。
なのでその点があやふやな人は
以下で復習しておきましょう。
鉛直投げ上げ運動に
自信がない方はこちら
物体の運動は2つの方向に分割せよ
上にあげた図に
とりあえず、いつも通り
物体に働く力を書き足します。
今働くのは重力だけなので
この物体の質量を$m$とすると
となります。
斜方投射において
次のような
誤った力の書き方
をする人がいます。
進行方向に力が働いている
と考えてしまいたくなる
気持ちはよくわかります。
しかし、それは間違いなので
気をつけましょう。
物体に働くのは
鉛直下向きの
重力だけです。
斜方投射を考える時に
大事になるのは
各方向に運動を
分解すること
です。
逆に、斜方投射という運動は
分解した運動の
組み合わせ
で表現できます。
ということで縦軸と横軸へ
物体の運動を分解してみましょう。
すると次のようになります。
縦軸の運動:鉛直投げ上げ
それではまず
縦軸へ分解された運動
について考えてみましょう。
![](https://i0.wp.com/high-school-physics.com/wp-content/uploads/2021/04/スクリーンショット-2021-04-27-16.47.50.png?resize=555%2C259&ssl=1)
この運動は重力が働く状態で
真上に投げ上げられてているので
これはまさに
鉛直投げ上げ運動
を表しています。
また、この場合その初速度は
斜方投射の初速度が$v_0$だったので
$$\large v_0\sin\theta$$
となります。
横軸の運動:等速直線運動
次に斜方投射のうち
横軸へ分解された運動
について考えてみましょう。
![](https://i0.wp.com/high-school-physics.com/wp-content/uploads/2021/04/スクリーンショット-2021-04-27-17.14.38.png?resize=523%2C331&ssl=1)
この運動では
力が全く働いていない
かつ
初速度がある
ということに注目してください。
つまりこの物体は
慣性の法則により、
等速直線運動
をします。
そしてその初速度は
先と同様に、斜方投射の
初速度が$v_0$であるので
$$\large v_0\cos\theta$$
となります。
公式の具体的な求め方
さて、斜方投射が
鉛直投げ上げ
と
等速直線運動
に分解できることがわかり
それらの初速度がわかったなら
あとはもう簡単です。
知ってる公式を組み合わせるだけで
全て求めることができます。
運動の軌跡の求め方
運動の軌跡を求めるとはつまり
座標$x$と座標$y$の
間に成立する式
を求めることを意味します。
そこで次の
鉛直投げ上げ運動と等速直線運動における
位置($y$と$x$)を表す2つの式を用意します。
$$y=v_0\sin\theta\cdot t-\frac{1}{2}gt^2$$
$$x=v_0\cos\theta\cdot t$$
そして等速直線運動の式を
次のように$t$についての式
に変形します。
$$t=\frac{x}{v_0\cos\theta}$$
今度はこれを
鉛直投げ上げ運動の公式
に代入します。
そのようにすると、次のように
$y$の式から$t$が消えて、
$x$と$y$の式になります。
\begin{align}
y&=v_0\sin\theta \cdot \frac{x}{v_0\cos\theta}-\frac{1}{2}g\Big(\frac{x}{v_0\cos\theta}\Big)^2\\
\\
&=x\frac{\sin\theta}{\cos\theta}-\frac{g}{2v_0^2\cos^2\theta}x^2\\
\\
&=-\frac{g}{2v_0^2\cos^2\theta}x^2+x\tan\theta
\end{align}
最終的に
$$\large y=-\frac{g}{2v_0^2\cos^2\theta}x^2+x\tan\theta$$
が得られます。
これが軌跡の式であり
この式は何を隠そう
2次関数
になっており、これを実際に
プロットしてみると
となり、確かに斜方投射を
表していそうだと
わかると思います。
(上図では$y=0$が地面に相当)
最高点の高さ
次に最高点の高さについてです。
今の場合「高さ」
を知りたいので
縦軸の運動
のみを考えればすみます。
つまり
横軸の運動は
無視できる
と言えます。
そして縦軸の運動とは
鉛直投げ上げ運動であり
この運動において
高さが最大になるのは
速度が0になった時
でした。(復習)
なので鉛直投げ上げ運動の
次の公式
$$v^2-v_0^2=-2gy$$
に$v=0$と
初速度$v_0\sin\theta$を代入して
\begin{align}
0-(v_0\sin\theta)^2&=-2gy\\
\\
v_0^2\sin^2\theta&=2gy\\
\\
\large y&=\large \frac{v_0^2\sin^2\theta}{2g}
\end{align}
が得られ、これが
今求めたい最大の高さとなります。
最高点に達するまでの時間
最高点に達するまでの時間を
求めたい場合も先ほどと同様に
横方向の運動は無関係なので無視できます。
つまり考えるべきは
鉛直投げ上げ運動において
最高点に達するまでの時間
になります。
これは鉛直投げ上げ運動の
速度に関する次の公式
$$v=v_0-gt$$
に$v=0$と初速度を
代入することで得られます。
(なぜなら最高点で縦軸方向の速度は0となるから)
よって結局
$$\large t=\frac{v_0\sin\theta}{g}$$
が得られ、これが
最高点に達するまでの時間
になります。
最高点に達した時の水平距離
では
最高点に達したの時の水平距離
はどれくらいでしょうか。
まず考えなければいけないのが
最高点に達するまでの
経過時間
です。
これがわかれば、水平方向には
等速直線運動
をしているため水平距離は
$$\large x=v_0\cos\theta \cdot t$$
で表されるので
この式の時間$t$に
その経過時間を代入することで
求めることができます。
そしてその経過時間、つまり
最高点に達するまでの時間
は、上の節から
$$t=\frac{v_0\sin\theta}{g}$$
で与えられるのでした。
あとはこれを等速直線運動の式に代入するだけです。
\begin{align}
x&=v_0\cos\theta \cdot \frac{v_0\sin\theta}{g}\\
\\
&=\frac{v_0^2\sin\theta\cos\theta}{g}\\
\\
&=\frac{v_0^2\sin2\theta}{2g}
(倍角の公式)
\end{align}
このようにして結局
$$\large x=\frac{v_0^2\sin2\theta}{2g}$$
が得られ、これが
最高点に達した時の水平距離
になります。
落下するまでに要する時間
物体が投射されて
次に地面に落下するまでに要する時間は
鉛直投げ上げ運動において
物体が落ちて
来るまでの時間
に等しいです。
それは高さ$y$を表す
次の式
$$y=v_0\sin\theta\cdot t-\frac{1}{2}gt^2$$
に$y=0$を代入することで求まります。
(なぜなら物体が落ちて来る=原点($y=0$)に戻って来る、から)
もしくはその速度を表す次の式
$$v=v_0\sin\theta-gt$$
に$v=-v_0\sin\theta$を代入するか
で求まります。
(なぜなら物体が原点に戻って来る際
大きさが同じで逆向きの速度を持っているから)
このいずれかを用いると
最終的に求める時間は
$$\large t=\frac{2v_0\sin\theta}{g}$$
となります。
これが
落下するまでに要する時間
です。
水平到達距離
水平到達距離とは
次で表される距離を表します。
ではこれを求めていきましょう。
水平到達距離は
投げ出してから
落下するまでに要する時間を
横軸の運動である
等速直線運動の次の公式
$$x=v_0\cos\theta \cdot t$$
に代入することによって
求めることができます。
そして落下するまでに要する時間は
前の節から
$$t=\frac{2v_0\sin\theta}{g}$$
で与えれらるので、これを代入して
\begin{align}
x&=v_0\cos\theta \cdot \frac{2v_0\sin\theta}{g}\\
\\
&=\frac{2v_0^2\sin\theta\cos\theta}{g}\\
\\
&=\frac{v_0^2\sin2\theta}{g}
\end{align}
最終的に
$$\large x=\frac{v_0^2\sin2\theta}{g}$$
が得られ、これが
水平到達距離になります。
水平到達距離を最大にする角度
前の節で求めた次式で表される
水平到達距離において
水平到達距離を最大にする角度を考えます。
$$\large x=\frac{v_0^2\sin2\theta}{g}$$
この式において
$\sin2\theta$がどんな値の時
$x$は最大になるか
というのが今の場合考えなくてはいけないことです。
上式から、明らかに
$\sin2\theta$が最大の時
$x$も最大になります。
そして$\sin2\theta$の
最大値は1です。
そのため
$$\sin2\theta=1$$
である角度が求める角度になります。
そしてこの角度は明らかに
$$\theta=\frac{\pi}{4}=45°$$
です。
これが
水平到達距離を最大にする角度
になります。
まとめ
それでは今回のまとめです。
- 斜方投射は
鉛直投げ上げ運動と
等速直線運動に分解する! - それらの公式を組み合わせて
他の公式は導けるようになる! - 決して丸暗記する必要はない!
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