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質点とは「質量を持つ点」である
質点とは、その字の如く
質量を持つ
ただ一点
のことを言います。
これは「点」であるので
大きさは0
です。
先程の図では便宜上
「大きさ」がありますが
実際に考える質点の大きさは
ちゃんと0であることに注意してください。
大きさはないのに
質量がある
というのは奇怪に思えるかもしれません。
しかし、このような概念が
作り出されたのには
理由がちゃんとあります。
「物体の運動」は「質点の運動」とみなしてしまおう!
では「質点」という考え方が
作り出された理由を述べていきます。
物体の位置を決めたい時
まず次のような状況を考えましょう。
今、床の上で引っ張られる
物体の運動を考えるとします。
そのためには、まず
物体の位置
をどのように決めるかを
決めなくてはなりません。
しかし、この物体には
大きさがあるために
物体の先端を代表点とすべきなのか
物体の後端を代表点とすべきなのか
などなど
どれだけでも選択肢があります。
そこで、昔の人たちは考えました
と。
つまり次のような置き換えをするわけです。
(質量はどちらも同じ)
このようにすれば
質点には大きさがないので
物体の位置として
質点の位置
を対応させることができます。
この対応のさせ方をみて
え、そんな
勝手なこと
して良いの?
と疑問を抱いた人もいるでしょう。
詳細は省き結論だけ述べますが
物体の重心を
質点とみなす時だけ
そのような勝手は許されます。
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つまり次のようになります。
その結果「物体がどう動くか」
という問題は
質点(重心)が
どう動くか
という問題に置き換えることができます。
物体に力が働いている時
また、物体に力が働く際にも
質点という概念がとても重宝します。
例えば物体に重力が
働いている場合を考えます。
この時、通常重力は物体の
あらゆる部分に働きます。
すなわち力が働く点、つまり
作用点は無数に存在します。
しかし、これはとてもゴチャゴチャしていて
わかりにくいです。
しかも異なる部分に働いている重力を
どう扱ったら良いかもわかりません。
そこで、またまた昔の人たちは考えました
「物体」を
「質点」に
置き換えたら
良いじゃない
と。
そのようにすれば、次のように
物体に働く力はとても簡単になります。
(質量はどちらも同じ)
その結果、いつもやるように
物体の運動を考えることができるわけです。
この対応に関しても
え、そんな
勝手なこと
しても良いの?
と思う人もいるかもしれません。
しかし、これも先ほどと同様に
詳細は省きますが
物体の重心を
質点とみなす時だけ
許されます。
つまり次のようになります。
以上のような理由で
物体を質点として考える
ことはとても便利な
考え方なわけです。
そのために
通常物理の問題では
物体を質点と
みなしましょう
ということをするわけです。
細かい動きを知りたい→「剛体」の登場
質点はここまで述べてきたように
物体の運動を考える上で便利な考え方です。
しかし質点を用いて
理解できるのは
物体のおおまかな運動だけ
であることは
覚えておいてください。
これはつまり
細かい運動についてはわからない
ことを意味します。
例えば次の図のように
ボールを投げる場合を考えます。
この図のように「ボールの軌道」という
「大まかな運動」は質点の運動を通して
求めることができます。
しかし「どっちに回転しているか」
といった「細かい運動」に関しては
質点は何も教えてくれません。
ではこのような細かい運動を
知るにはどうしたら良いのか、
という疑問が生まれるわけですが
そのための解決策として
「剛体」
という概念が登場します。
今回は剛体に関しては述べませんが
大まかな運動を
知るには「質点」を
細かい運動を
知るには「剛体」を
考えなければならない
ということは覚えておきましょう。
剛体って一体
なんのためにあるの?
と疑問に思っていた人もいるかもしれませんが
その一つとしては上記のように
質点だけでは
わからない部分を
補うため
という存在意義があります。
剛体についてはこちら
今回のまとめ
では今回のまとめです。
質点は
- 物体の位置を
一点に決めてくれる - 物体に働く力の作用点を
一点に決めてくれる - 物体の大まかな運動を
求めやすくなる
という利点がある!
(細かい運動は剛体の領域)
今回はこれで以上です!
「物体」を
「質点」に
置き換えたら
良いじゃない!