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どんな座標も自由にとっていい
実は物理において
座標というのは
どんな座標をとっても
構わない
ことになっています。
つまりあなたが
やりたいように
座標を取ってもらって
全然構わないわけです。
というのは
どんな座標をとっても
結局は同じことを表す
からです。
この点をわかってもらうため
次のような加速度運動をしてる
物体を考えます。
今、次のような
右向きを正とした
座標を取ることにしましょう。
今物体は加速度$a$を持つとし
等加速度運動の公式により
$t$秒後の物体の位置$x$は
初速度を0として
$$\large x=\frac{1}{2}at^2$$
と表されます。
では次に
左向きを正とした
座標を取ることにしましょう。
すると、物体の加速度は
$\large -a$となり、
等加速度運動の公式より
$t$秒後の物体の位置は
$$\large x=-\frac{1}{2}at^2$$
と表されます。
以上2つのの場合では
互いに異なる座標を使い
その結果得られた数式も
同じではありませんでした。
しかし次の図を見てください。
どちらの場合だろうが
起こっている物事としては
全く同じことを表しています。
このように
2つの座標の取り方によって
確かに
異なる結果
が得られますが
結局は同じことを表す
わけです。
それゆえ
どんな座標を
取ってもいい
と言えることになります。
もちろん次のような
座標を取っても構いません。
(ただし面倒くさくなります)
座標を取る時のルール
では実際に物理の問題を解く時には
どんなことに気をつけて座標を取ればいいのか。
ここからはこのことについて
掘り下げていきます。
ルール1:一度座標を決めたら途中で変えない!
まずルール1つ目は
座標は1度決めたら
途中で変えない
ということです。
座標を設定するというのは
物理の問題を解いていく際の
スタート地点に当たります。
![](https://i0.wp.com/high-school-physics.com/wp-content/uploads/2021/04/240_F_354336273_qIAoW3dh04Aao8ANwa4FwAxvH1vgxasd.jpeg?resize=503%2C336&ssl=1)
そのため一度決めたら
ゴールに辿りつくまでは
座標を変えてはいけません。
もし座標を変えるのなら
途中までの道のりを一旦引き返して
もう一度
スタート地点から始める
ことが必要になります。
途中で座標を変えてしまうがために
![](https://i0.wp.com/high-school-physics.com/wp-content/uploads/2020/09/necchusyou_face_boy5-e1617170302635.png?w=728&ssl=1)
と混乱する人がいるので気をつけましょう。
ルール2:1つの物体の運動について1つの座標系を用意する
ただ1つの物体が問題になる場合には
何も心配は要りませんが、
2つの物体を
問題にする時
には注意が必要です。
例えば次のような
場合を考えてみましょう。
このような2つの物体が関わる場合
間違いやすい人は
2つの物体を同時に
考えようとします。
その結果、混乱し
![](https://i0.wp.com/high-school-physics.com/wp-content/uploads/2020/09/necchusyou_face_boy4.png?w=728&ssl=1)
よくわからない
ということになるわけです。
混乱しないためには
1つの物体には
1つの座標を
用意してあげる
ことが必要です。
つまり、先程の場合であれば
![](https://i0.wp.com/high-school-physics.com/wp-content/uploads/2021/04/スクリーンショット-2021-04-26-12.13.32.png?resize=483%2C325&ssl=1)
のように各々の物体に
1つずつ座標を作りましょう。
そして同時にではなく
1つ1つ分けて考えることで
混乱を大きく減らすことができます。
ルール3:なるべく座標軸は少なくて済むようにする
上で次のような座標も
取ることができると述べました。
この座標でもダメなことはないです。
しかしこの座標だと
物体の位置を
決定するのに
2つの座標が必要になる
というデメリットがあります。
逆に次のような座標を考えます。
この場合$y$方向の運動
というものはなく
$x$方向にのみ動くことがわかります。
つまり
1つの座標のみで
位置を指定できる
というメリットがあります。
この前者と後者では
圧倒的に後者の方が楽です。
なので座標を設定するときは
このように
なるべく座標軸の数が
少なくて済むように取る
ようにしましょう。
例えば次のような
斜面を下る物体
を考えます。
このような時には
![](https://i0.wp.com/high-school-physics.com/wp-content/uploads/2021/04/スクリーンショット-2021-04-26-13.34.14.png?resize=472%2C316&ssl=1)
という座標の取り方を
するよりも
としたほうが
$y$方向の運動がなくなり
$x$方向のみを考えられるので
楽ができます。
基本的な座標の取り方のパターン
ここでは基本的な
座標の取り方の
パターン
を紹介します。
また
「正の方向」は
どちらに取るべきか
については別の記事に
詳しく書いたので
そちらを参照してください。
「正の方向」について
詳しく学びたい方はこちら
等加速度運動
重力による落下も含め
等加速度運動を考える際には
次のように
運動方向に
沿った座標
をとるようにしましょう。
![](https://i0.wp.com/high-school-physics.com/wp-content/uploads/2021/04/スクリーンショット-2021-04-26-13.48.19.png?resize=618%2C303&ssl=1)
先に述べたように
このようにすることで
1つの方向のみで
運動を考えることができます。
斜面がある場合
斜面を転がる場合に限らず
斜面が存在する場合には
次のように
斜面に平行な座標と
垂直な座標
を設定して考えるのが基本です。
![](https://i0.wp.com/high-school-physics.com/wp-content/uploads/2021/04/スクリーンショット-2021-04-26-13.38.18.png?resize=512%2C338&ssl=1)
先述したように、
次のような座標設定をすると
面倒くさくなるので気をつけてください。
![](https://i0.wp.com/high-school-physics.com/wp-content/uploads/2021/04/スクリーンショット-2021-04-26-13.34.14.png?resize=485%2C325&ssl=1)
ただし、問題によっては(少ないですが)
このような座標の取り方を
しなければならない場合もあります。
斜方投射
次のような斜方投射を考えます。
このとき
![](https://i0.wp.com/high-school-physics.com/wp-content/uploads/2021/03/pose_anshin_boy-e1617188488821.png?w=728&ssl=1)
運動の方向に
座標を取ったらいはず!
と考え
としてはいけません。
確かに運動の方向と
座標の1つを平行にするのは
等加速度運動においては
有効でした。
しかし、斜方投射では
非常に面倒になります。
斜方投射の場合には素直に
という座標を取るようにしましょう。
斜方投射にはこれ以上簡単な
座標はないので気をつけてください。
今回のまとめ
それでは今回のまとめです。
- 座標は自由に決めていい!
- ルール①:基本的に座標は途中で変えない!
- ルール②:物体1つ1つに1つの座標を設定する!
- ルール③:座標はなるべく座標軸が少なくて済むように取る!
あれ、、??
どういうことだ??
わかんなくなってきた!?