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自由落下・鉛直投げ上げ・鉛直投げ下ろしの公式一覧
- 自由落下
- 鉛直投げ上げ
- 鉛直投げ下ろし
以上3つの運動は
重力加速度を$g$として
次のような公式で表されます。
(全て上向きを正とした場合。
$v_0$は初速度の大きさを表す。)
これらの公式はただ単に
覚えろと習うかもしれません。
しかしそれは
物理ができない人の典型例です。
先程の3つの式は
等加速度運動の公式
から導けるものであり覚えるものは
次の等加速度運動の公式だけですみます。
$$\large x=v_0t+\frac{1}{2}at^2$$
$$\large v=v_0+at$$
$$\large v^2-v_0^2=2ax$$
それぞれの公式の導き方
それではここから
実際に等加速度運動の公式から
先程の式を導いてきます。
「物理学できる人」
になりたい人はちゃんと
以下をマスターしましょう。
まず「方向」をよく考えよう
物理においては
方向
がとても大事です。
方向の重要性を理解することは
物理の理解に不可欠なので
これからは
どの方向を向いているか
というのに注意を払いながら
読み進めてください。
「方向」の重要性が
よくわかってないという方はこちら
自由落下
では自由落下を考えていきます。
次のような場合を考えます。
![](https://i0.wp.com/high-school-physics.com/wp-content/uploads/2021/04/スクリーンショット-2021-04-21-23.38.43.png?resize=451%2C296&ssl=1)
下向きを「正の向き」とする時
落とし始める高さ
を原点とし、次のように
下向きを
正とした座標
を取ります。
すると
となります。
この時の物体は
下向きの重力加速度
を持っています。
つまりそれは
正の方向を向いています。
それゆえ今その加速度は
$$\Large a=(+)g$$
(下向きを正としたので符号は正!)
で与えられます。
また、「自由落下」
とはつまり
初速度を与えず
(下向きに投げたりせず)
ただ落とす
運動を指します。
それゆえ初速度$v_0$は$0$です。
以上を加速度運動の次の公式
$$ x=v_0t+\frac{1}{2}at^2$$
$$\large v=v_0+at$$
$$\large v^2-v_0^2=2ax$$
に代入して
$$ y=\frac{1}{2}gt^2 $$
$$ v=-gt$$
$$ v^2=2gy$$
が導かれます。
上むきを「正の向き」とする時
ついでに先ほどとは逆に
次のような
上向きを
正とした座標
を取る場合を考えます。
上向きが正なので
今の場合重力加速度は
負の方向
を向いています。
その結果
$$\Large a=-g$$
(上向きを正としたので符号は負!)
となります。
あとは先ほどと
同様に考え、加速度運動の次の公式
$$ x=v_0t+\frac{1}{2}at^2$$
$$\large v=v_0+at$$
$$\large v^2-v_0^2=2ax$$
に$a=-g$、$v_0=0$を代入して
$$\large y= -\frac{1}{2}gt^2$$
$$\large v=-gt$$
$$\large v^2=-2gy$$
が導かれます。
このように
正の向きを
どう決めたかによって
式の形が変わる
ということに注意してください。
鉛直投げ下ろし
次に鉛直投げ下ろしです。
この鉛直投げ下ろしと
自由落下の違いは
わざわざ
下に向かって投げるか
何もせず、ただ落とすか
というものであり、
これを言い換えると
初速度を持たせるのか
初速度を持たせないのか
となります。
つまり先ほど導いた
自由落下の式に初速度を
加えてあげればいいだけです。
以上を念頭において
速さ$v_0$で投げ下ろす
次のような場合を考えます。
下向きを「正の向き」とする時
落ち始める高さを原点とした
次のような
下向きを
正とした座標
取ります。
![](https://i0.wp.com/high-school-physics.com/wp-content/uploads/2021/04/スクリーンショット-2021-04-22-0.07.14.png?resize=432%2C353&ssl=1)
今、重力加速度と
初速度は同じく下向きです。
そのため重力加速度と初速度は
正の方向
を向いていることとなります。
そこで等加速度運動の次の公式
$$x=v_0t+\frac{1}{2}at^2$$
$$\large v=v_0+at$$
$$\large v^2-v_0^2=2ax$$
において
$a$を$g$に変え、
$v_0$はそのままにすることで
$$y=v_0t+\frac{1}{2}gt^2$$
$$v=v_0+gt$$
$$v^2-v_0^2=2gy$$
が導かれます。
上向きを「正の向き」とする時
落とし始める高さを原点とした
次のような
上向きを
正とした座標
を取ります。
この場合初速度と重力加速度は
下向き、すなわち
負の方向
を向いています。
そのため初速度と加速度は
それぞれ$-v_0$と$-g$となります。
これを加速度運動の次の公式
$$x=v_0t+\frac{1}{2}at^2$$
$$v=v_0+at$$
$$v^2-v_0^2=2ax$$
に代入して
$$y=-v_0t-\frac{1}{2}gt^2$$
$$v=-v_0-gt$$
$$v^2-v_0^2=2(-g)y=-2gy$$
が導かれます。
繰り返しになりますが
正の向きを
どう決めたかによって
式の形が変わる
ことに注意してください。
「向き」は
超超超超超重要です。
鉛直投げ上げ
最後に鉛直投げ上げについてです。
次のように
速さ$v_0$で投げ上げる
場合を考えます。
上向きを「正の向き」とする場合
投げ始める高さを原点とした
次のような
上向きを
正とした座標
を取ります。
図からわかるようにこの時物体は
下向きの
重力加速度
と
上向きの
初速度
を持っています。
これは、今の場合
重力加速度は
負の方向を
初速度は
正の方向を向いてる
と言い直せます。
つまり、加速度運動の
次の公式
$$x=v_0t+\frac{1}{2}at^2$$
$$v=v_0+at$$
$$v^2-v_0^2=2ax$$
において
$v_0$はそのままに、
$a=-g$を代入すると良いわけです。
その結果、次の式が導かれます。
$$y=v_0t-\frac{1}{2}gt^2$$
$$v=v_0-gt$$
$$v^2-v_0^2=2(-g)y=-2gy$$
下向きを「正の向き」とする場合
これはほとんど必要になる
機会ありませんが、ついでに
下向きを
正の向きとする場合
についても考えます。
これはすなわち次のような
下向きを
正のとする座標
を取ることに相当します。
今度は下向きが正なので
重力加速度は
正の方向を
初速度は
負の方向を向いてる
と言えます。
つまり、今の場合の運動を知るには
次の加速度運動の公式
$$x=v_0t+\frac{1}{2}at^2$$
$$v=v_0+at$$
$$v^2-v_0^2=2ax$$
において
$v_0$を$-v_0$に変え
$a=g$を代入すると良いわけです。
その結果、次の式が導かれます。
$$y=-v_0t+\frac{1}{2}gt^2$$
$$v=-v_0+gt$$
$$v^2-v_0^2=2gy$$
まとめ
それでは今回のまとめです。
- 自由落下・鉛直投げ上げ・鉛直投げ下ろし
公式を丸暗記する必要はない! - 加速度運動の公式から全て導ける!
- 正確に導くためには「向き」がとても大事
改めて初めに示した表を載せます。
![](https://i0.wp.com/high-school-physics.com/wp-content/uploads/2021/04/スクリーンショット-2021-06-25-15.25.43.png?resize=642%2C291&ssl=1)
(全て上向きを正とした場合。
$v_0$は初速度の大きさを表す。)
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