万有引力の位置エネルギーがマイナスが付くのはなぜ?その意味をわかりやすく徹底解説!

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位置エネルギーは「相対的な量」!!

位置エネルギーというのは保存力
(バネの弾性力、重力(万有引力)、静電気力)において
定義できるものですが、今回は次式で表される

万有引力の位置エネルギー

を使って位置エネルギーとは
なんぞやということ解説していきます。

$$\large U=-G\frac{Mm}{x}$$

これは次のような
質量$M$の万有引力によってもたらされる
質量$m$の物体の位置エネルギーに対応します。

この位置エネルギーですが、実はこれは

相対的な量

として”定義”されます。

 

つまり位置エネルギーというものは

ここの位置エネルギーは
どこどこのものより大きい

ここの位置エネルギーは
どこどこのものより小さい

というように

比較対象がないと成り立たない量

であることを意味しています。

 

位置エネルギーというのは常に
どこかと比較しないと気がすまない卑しい量であるわけです。

 

すると当然

一体どこと
比較しているの?

という疑問が出てきますが、この

比較の基準とする場所
(地点)

のことを

基準位置

と呼んでいるわけです。

 

そこを「基準」とするわけでなので
当然、基準位置での位置エネルギーは$\large 0$です。

そして

位置$x_1$での位置エネルギーが
$V_1(>0)$である

と言うとき、これは

基準位置と比べて
位置エネルギーが$V_1$だけ高い
(大きい)

ことを意味しています。

そして逆に、

位置$x_1$での位置エネルギーは
$-V_1$である

と言う場合には

基準位置と比べて
位置エネルギーは$V_1$だけ低い
(小さい)

ということを表しているわけです。

 

「基準位置」は自由に選ぶことができる!

このように、位置エネルギーというのは

基準位置との
比較によって決まる量

であるわけですが、この基準位置というのは実は

どこでも自由に
選ぶことができる

という特徴があります。

 

例えば、今考えている万有引力の場合だと

無限遠を基準位置とした
位置エネルギー

を考えるのが一般的です。

しかし、別に次図のように
地点$a$を基準位置としても全く問題ありません。

そしてこの基準位置を変えるというのは

比較対象を変える

ということなので、
当然位置エネルギーの値は変わります

 

位置エネルギーはプラスにもマイナスにもなる

これをよりわかりやすくするために
例をあげましょう。

 

今、あなたの身長が160cmだとします。

すると、身長155cmの人を
比較対象(基準)として選んだ場合

あなたは5cmだけその人より高いので
あなたの身長は+5cmと評価できますね。

 

次に身長が165cmの人を
比較対象(基準)として
選んでみましょう。

この場合あなたは5cmだけ
その人より小さい
ので
あなたの身長は-5cmと評価されることになります。

と、このように

誰を(どの高さを)
基準にするか

であなたの身長の評価は変化し
プラスにでもマイナスにでもなります。

 

これと同じように位置エネルギーというものは

基準位置をどこに選ぶか

で異なる値を持ち、場合よっては
プラスにもマイナスにもなります。

 

基準位置の一般的な選び方

基準位置は自由に選ぶことができる
と述べましたが、

基準位置の一般的な選び方

が存在します。
(ただし全てが
この選び方であるわけではないです)

その選び方とは

力が働かなくなる位置を
基準位置とする

という選び方です。

 

万有引力の場合、その力は次式で書かれますね。

$$\large F=-G\frac{Mm}{x^2}$$

ではこの力が0になる(なくなる)
位置はどこでしょうか?

 

 

それは $x=\infty$(無限点)ですね。
(なぜなら$\frac{1}{\infty}=0$であるから)

そういうわけで、
万有引力では無限遠を基準位置とするわけです。

バネの位置エネルギーなんかも同じように
力が0になる点(自然長の位置)を
基準位置としています。

 

ここで

なぜこんな選び方が
一般的なの?

と疑問に思う方もいるかもしれません。

 

その答えとしては

そういう選び方をすると
位置エネルギーの表式が
綺麗になるから

と言うほかありません。

逆に言えば、そのような選び方でない場合には
多くの場合、位置エネルギーの表式が
複雑になります。

 

「どう複雑になるのか」というのは
高校物理の範囲では説明の仕様がないのですが
(微積物理では説明できます)
とにかく、複雑になるということは覚えておいてください。

 

物体は位置エネルギーがより低いところを好む

では改めて次の場合の位置エネルギーに話を戻しましょう。

この場合の質量$m$の物体の位置エネルギー$U$は
基準位置を無限遠に取ることで

$$\large U=-G\frac{Mm}{x}$$

と表されるのでした。

 

そしてこの位置エネルギーのグラフは次のようになりますね。

このグラフから明らかなように
基準位置を無限遠に取った場合においては

万有引力の位置エネルギーは
どこでもマイナス

であり

原点に近づくにつれ
どんどん小さくなっている

ことが分かります。

 

そして、マイナスが付くということは

位置エネルギーが
基準位置(無限遠)の
それより小さい

ことを意味しているのでした。

 

ここでさらに知っていて欲しいことがあります。

それは

物体は位置エネルギーが
より小さい方を好む

ということです。

 

再度位置エネルギーの関数を見てください。

この時、位置エネルギーは
原点に向かってどんどん小さくなるので
上述の理由から物体は
より原点に近づこうとします

逆に、外から何も力を加えない限り
より位置エネルギーが高い方向
(今の場合無限遠へ向かう向き)
に物体が移動することはありません。

 

このように物体に働く力を考えなくても

位置エネルギーを見れば
物体の動き方がある程度わかる

ということは知っておいてください。

これによって物理の直感を鍛えることができます。

 

まとめ

それでは今回のまとめです。

まとめ
  • 位置エネルギーは基準位置との「比較」によって決まる量!
  • 比較によって決まるから基準位置を変えれば当然位置エネルギーも変化する!
  • 位置エネルギーに付く「マイナス」は「基準位置と比べて位置エネルギーが低い」ことを表しているに過ぎない!
  • 基準位置の取り方は(基本的には)力が0になる地点
    (ただし例外はある)
  • 物体はより位置エネルギーの低い方を好む
  • 位置エネルギーから運動を予測できるようになろう!

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