等加速度運動の公式
高校物理でまず最初に習うであろう
等加速度運動に関して
普通の高校物理では
と次の式を示されるでしょう。
$$\Large v(t)=v_0 +at$$
$$\Large x(t)=v_0 t+\frac{1}{2}at^{2}$$
しかし微積物理ではこんなものは
覚える必要は微塵もありません。
これらは全て
運動方程式から
導けます。
速度の式の導出
ここから次の
速度の式を導出していきます。
$$\Large v(t)= v_0 + at$$
それではまず普通の
運動方程式を書きます。
$$\Large m\frac{d^{2}x}{dt^{2}}=F$$
この式において
$$\Large \frac{d^{2}x}{dt^{2}}$$
は
加速度
を表すのでしたね。
そして今回考えるのは
等加速度運動
つまり
加速度が
ずっと一定の運動
です。
すると加速度の式は
定数$a$を用いて
次のようにかけます。
$$\Large \frac{d^{2}x}{dt^{2}}= a{(定数)}$$
この微分方程式を解くことを考えます。
まず次の関係を思い出しましょう。
この関係を意識すると
$\large v(t)$を使って次のように書き直せます。
\begin{equation}
\begin{split}
\Large \frac{d^{2}x}{dt^{2}} &= \Large a \\
\\
\Large \frac{d}{dt}\frac{dx}{dt} &= \Large a\\
\\
\Large \frac{d}{dt}v(t) &= \Large a\\
\\
\Large \frac{dv}{dt} &= \Large a
\end{split}
\end{equation}
微分したものは
積分すると元に戻るので
時間で微分された速度は
時間で積分することで元の形にできます。
そこで先ほどの両辺を
時間で積分(不定積分)すると
\begin{equation}
\begin{split}
\Large \int \frac{dv}{dt}dt &= \Large \int a dt \\
\\
\Large v(t) &= \Large at + C_1{(定数)}\\
\end{split}
\end{equation}
といったように
速度$\large v(t)$が求まります。
定数$C_1$が現れましたが
これは
初期の速度
を表しています。
試しに$\large t=0$(初期)を
代入してみましょう。
すると
$$\Large v(0)= C_1$$
となります。
このように定数Cは
初期の速度
(初速度)
を表しているわけです。
仮に「最初静止していた」
という条件であれば
$$\Large C_1=0$$
ですし、
「最初$V$の速度を持っていた」
という条件があれば
$$\Large C_1=V $$
となります。
この初速度のことを一般に
$\large v_0$と書きます。
すると先ほどの速度の式は
$$\Large v(t)= v_0 + at $$
と求まります。
見てわかるようにこれは
「暗記しろ」と習う速度の式と同じです。
位置(変位)の式の導出
それでは続いて
次の式を導出していきます。
$$\Large x(t)= v_0 t + \frac{1}{2}at^{2}$$
この場合は先ほど導出した
次の速度の式からスタートします。
$$\Large v(t) = v_0 + at$$
ここで$\large v(t)$を書き直すと
$$\Large v(t)=\frac{dx}{dt}$$
となります。
そしてここでもう一度
次の関係を思い出してください。
つまり$\large v(t)$は
時間で積分することで
$\large x(t)$にすることができます。
そこで先ほどの式の両辺を
時間で積分(不定積分)すると
\begin{equation}
\begin{split}
\Large \int \frac{dx}{dt}dt &= \Large \int (v_0 + at) dt \\
\\
\Large x(t) &= \Large v_0 t + \frac{1}{2}at^{2}+ C_2 \\
\end{split}
\end{equation}
というようにxを求めることができます。
しかしここでもまた、不定積分なので
新たな定数$C_2$が現れました。
これは$v(t)$の場合と同様に
xの初期位置
を表します。
試しに$\large t=0$(初期)
を代入してみましょう。
すると
$$\Large x(0)= C_2 $$
となります。
このように定数$C_2$は
初期の位置を表しているわけです。
例えば
「最初原点$x=0$にあった」
という条件であれば
$C_2=0$となるので
$$\Large x(t)= v_0 t + \frac{1}{2}at^{2}$$
ですし
「最初$x=X$にあった」
という条件であれば
$C_2=X$となるので
$$\Large x(t)= X+ v_0 t + \frac{1}{2}at^{2}$$
というようになります。
そしてこの初期位置は
基本的に$x=0$なので
一般的な位置$\large x(t)$の式は
$C_2= 0$である
$$\Large x(t)= v_0 t + \frac{1}{2}at^{2}$$
となります。
見てわかるように
これは「暗記しろ」と習う
加速度運動の公式と全く一緒です。
このようにして
ただ運動方程式さえ覚えていれば
加速度の式も導出することができます。
そしてこれによって逐一
加速度の公式って
これであってたっけ
と心配する必要もなくなり
間違いを圧倒的に減らせます。
なので以上の流れは
是非押さえておきましょう!
この公式は
覚えましょう!